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こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『取得費加算の特例』。
相続で家や土地をもらい、売って現金化する人は少なくはありません。
しかし、不動産売却による収入にはさらに税金がかかることをご存知でしたでしょうか?
こんな方はぜひ、読んでみて下さい。
残念ながら課税そのものを回避することはできません。
しかし、特例により【軽減】することは可能です。
手元に残るお金が増えるお得な制度。
知っておいて損はありません。
この記事では、そんな節税効果を得られる『取得費加算の特例の基礎』について解説。
基礎だけ知りたい人は3つのポイントだけチェック!
もう少しだけ理解を深めたい人は、ぜひ他の項目も読んでみて下さいね。
相続した不動産がすべて特例の対象とはなりません。
特例を使うための条件は全部で4つ。
すべてクリアしていることが大前提です。
◆・条件・◆
条件①:
【相続】【遺贈】【死因贈与】のどれかの方法で不動産を取得していること
条件②:
【個人】が取得していること(法人はNG)
条件③:
不動産を取得した人が【相続税を納めている】こと
条件④:
相続開始日の翌日から【3年10ヶ月以内に売却】していること
なお、特例を使うためには給与所得とは別に【確定申告】が必要です。
申告期間は、『売却した次の年の2月16日~3月15日』。
何もしなければ適用されませんので注意しましょう。
◆:購入価格&購入費用
【取得費】といわれるもの。
不動産を購入したときの金額と、その際にかかった費用は控除することができます。
◆:売却時の費用
【譲渡費用】といわれるもの。
売却する際にかかった手数料なども控除できます。
先祖代々の土地など、いくらで買ったか不明な時もあるでしょう。
その場合、『売った金額の5%』の控除が可能。
実際の取得費が『売った金額の5%を下回る』時も適用できるので覚えておきましょう。
なお、取得費の証明には【売買契約書】や【領収書】が必要となります。
支払った相続税のうち、一部を『取得費として』控除可能。
相続税の申告書に記載している金額を使えば、自分で控除額を割り出すことも出来ます。
気になる人は計算してみましょう。
◆・計算式・◆
【支払った相続税額】×【売却した不動産の課税価格】
/【相続財産の課税価格】+【債務控除額】
【支払った相続税額】
【売却した不動産の課税価格】
【相続財産の課税価格】
【債務控除額】
【相続財産の課税価格】6,000万円
【売却した不動産の課税価格】5,000万円
【債務控除額】400万円
【支払った相続税】1,100万円
= 1,100万円 × 5,000万円 / (6,000万円 + 400万円)
= 1,100万円 × 5,000万円 / 6,400万円
「特例を使って節税できるのはわかったけど、どのくらい安くなるの?」
たしかに、控除額だけ分かってもイマイチしっくり来ませんよね。
実際に税金額を計算し、『お得度合い』を確認してみましょう。
ここでは、特例を使わなかった時の税金と使った時の税金を比較。
以下の条件で計算しています。
◆:不動産の売買情報
【売却金額】4,000万円
【購入金額】2,500万円
【購入時にかかった費用】120万円
【売却時にかかった費用】150万円
◆:相続税の計算情報
【売却した不動産の課税価格】3,000万円
【債務&葬式費用】200万円
【相続財産の課税価格】2,000万円
【支払った相続税】220万円
所有期間 | 譲渡所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | total |
---|---|---|---|---|
5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
step①:売却金額から費用を控除
= 4,000万円 - 2,500万円 - 120万円 - 150万円
= 1,230万円
step②:税率をかける
【所有期間:5年以下】
= 1,230万円 × 39.63%
= 487万4,490円
【所有期間:5年超】
= 1,230万円 × 20.315%
= 249万8,745円
step①:売却金額から費用を引く
= 4,000万円 - 2,500万円 - 120万円 - 150万円
= 1,230万円
step②:支払った相続税を基準にした控除額をさらに引く
= 220万円 × 3,000万円 / 2,000万円 + 200万円
= 220万円 × 3,000万円 / 2,200万円
= 300万円
1,230万円 - 300万円 = 930万円
step③:税率をかける
【所有期間:5年以下】
= 930万円 × 39.63%
= 368万5,590円
【所有期間:5年超】
= 930万円 × 20.315%
= 188万9,295円
相続税を支払った人には、ぜひとも使ってもらいたい特例。
使いたい!と思った人もいるのではないでしょうか。
しかし、この記事でお伝えしたことはあくまで超基礎的な部分。
実際にはいろんな状況から判断しなければいけないため、条件が変わってしまうこともあります。
こんな人は一度、相続専門の税理士へ相談しましょう。
それぞれの事情に合った対策が必要となり、また個人での判断が非常に難しいためです。
ぜひ一番お得な方法を見つけ、納得できる相続を完了させましょう。
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