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こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは『相続税の負担が大きくなってしまう遺言書』。
「自分が思い描いているように財産を残したい」
「相続人同士の争いがない、平和な相続にしたい」
財産を残す側としては、このような『理想的な相続』を望む人も多いでしょう。
しかし、『想い』や『自分の判断基準』だけでは思い通りにいかないのが相続。
遺言内容によっては、相続税の控除制度が使えなくなってしまうのです。
多額の相続税で喜ぶ人はいません。
負担がかかれば不満となり、最悪の場合、遺言書そのものが無効となってしまうでしょう。
また、注意すべきは相続税だけではありません。
財産の『配分』『内容』『金額』がケンカに直結してしまうこともあります。
争いを極力避けた遺言書を書きたい人は要チェックです。
遺言書を書くなら生前での対策が必須。
みんなが納得できる遺言書づくりのため、この記事を参考にしてみて下さい。('ω')
相続税は、『だれに』『何を』『どのくらい』あげるかで変動する税金。
意識せず財産を相続させると、驚くほど高くなることがあります。
相続税を支払うのは財産をもらった人。
税金が高くなる遺言書は嫌われます。
では、一体どんな遺言書が相続税の負担を大きくしてしまうのでしょうか?
代表的な4つの事例を解説します。('ω')
相続税の支払いが困難になるケースです。
『現金一括』が相続税納付のキホン。
「土地と家はイチローへ。預貯金はジローへ。」
こんな遺言書を残したら一大事。
現金をもらったジローは難なく支払いができるかもしれません。
しかし、不動産だけもらったイチローはどうでしょう。
現金が用意できなければ『売る』という選択肢も出てきます。
せっかくあげた財産もこれでは水の泡。
必ずしも売れる保証がない不動産は、リスクにさえなってしまいます。
家や土地をあげる場合は、支払い面も考えましょう。
財産を残せない上に、相続人を苦しめるだけになってしまいます。
土地の相続税をMAX80%割引できる特例、『小規模宅地等の特例』。
本来1,000万円の相続税を必要とする場合も、特例を使えば200万円で済んでしまうのです。
こんなお得な特例を見逃すわけにはいかないですよね。
ただし、この特例が使えるのは『配偶者』と『同居している親族』のみ。
土地をあげる相手によっては、相続税の負担が大きくなる可能性があるのです。
特例を使って節税するには、『だれに何を』あげるかが非常に重要となります。
負債をカットできない人とは、ずばり『特定受遺者』。
『受遺者』とは文字通り、遺言書により財産をもらう人のこと。
受遺者は2種類に分けられ、そのうちの一つが特定受遺者です。
レ 包括受遺者
『割合』で財産を与えられた受遺者のこと。
『全財産を』『財産の3分の1』『半分』などの表現が当てはまります。
レ 特定受遺者
『指定された財産』を与えられた受遺者のこと。
『自宅を』『東京の土地を』『〇×△銀行の預金を』などの表現が当てはまります。
さらに押さえてほしいポイントが相続税の計算のしくみ。
相続税はすべての財産に対して単純にかかるわけではありません。
葬式費用や負債があればその額をプラス財産から引き、残りの財産にだけ相続税が課税されるのです。
もう少し詳しく知りたい方は、以下記事を参考にしてみて下さい。
しかし、この『債務控除』ができるのは『相続人』と『包括受遺者』のみ。
「東京の土地を友人トモコへ。」
「〇×△銀行の預金を愛人アイコへ。」
この場合、トモコとアイコは相続税の支払いが多くなります。
相続人以外へ財産を残したい場合は注意しましょう。
「配偶者の税額軽減の特例を使えば、相続税¥0!」
「だったら、全財産を妻へ渡せばみんなハッピー!」
たしかに配偶者の特例を使えば、1億6,000万円までは相続税がかかりません。
しかし、本当にそれでみんなハッピーなのでしょうか?
2つのパターンで比較してみましょう。
夫婦の場合、通常『2回』相続が発生します。
1回目の相続を『一次相続』、2回目の相続を『二次相続』とよびます。
イラストの結果をまとめると以下のとおり。
【A】妻に全財産渡した場合
最終的な相続税: 2,100万円
【B】子どもに全財産渡した場合
最終的な相続税: 1,300万円
つまり、後々に起こるであろう『配偶者の死』を考えないと子どもへの負担が大きくなるのです。
夫婦間で相続を完了させる予定の人は、もう一度よく考え直してみましょう。('ω')
遺言書は弁護士や司法書士、行政書士などに依頼して作ることもできます。
ただし、相続税のことまで考えられていない可能性が大。
節税対策をしっかり行うのであれば、相続専門の税理士に頼むのが吉でしょう。
相続は、支払う税金の話だけで終わるイベントではありません。
納付まで辿り着く過程が、非常に困難であるケースが多いのです。
相続がスムーズに行かない大きな理由が、『ケンカ』。
お金が絡めば『損と得』を意識し、不満が生じればモメてしまうわけです。
代表的な原因は3つ。
× 『差』がある財産の分割
× 『価値観』の不一致
× 『遺留分』以下
それぞれ解説していきます。('ω')
「全財産の9割を長男イチローへ。」
「残りの財産を次男ジローへ。」
「貰える財産、少な。。」
「自分だって同じ相続人なのに、どうして?」
極端な偏りがある分け方はモメる可能性大。
例えそこにどんな理由があろうと、ケンカの素になってしまうでしょう。
相続人が複数いる場合は頭に入れておきましょう。
「家と土地を長男イチローへ。」
「〇×△銀行の預金を次男ジローへ。」
「やっぱり長男には家と土地だよね!」
固定概念や風習での財産の分け方は、不満を感じさせる可能性大。
利用価値の高い、都心部の土地であれば問題ないかもしれません。
しかしこれが、田舎にある土地の場合どうでしょうか。
思い入れや将来使う予定が無い限り、もらっても嬉しくないわけです。
つまり、相続人本人が価値を感じなければ不満となってしまいます。
自由に使える現金をもらったジローがうらやましく思え、モメてしまうでしょう。
遺留分とは、最低限もらえる財産額のこと。
相続財産は法律により、一定割合が保証されているのです。
この『最低額』を下回る相続人は、他の相続人から不足分を請求できる権利があります。
請求方法はいくつかありますが、最終的には裁判。
モメることは明白でしょう。
相続人の仲を保つためには、ひとりひとりの『金額』も考慮する必要があるのです。
◆すべての相続人が『遺留分』を請求できるわけではない
【権利がある人・ない人】
レ 配偶者
レ 直系尊属(子どもや孫、親や祖父母など)
× 兄弟姉妹や甥、姪
兄弟姉妹、甥、姪には権利がありません。
どうしても財産を多く渡したくない場合など、覚えておくといいでしょう。
「結局、どんな風に遺言書を書けばいいの?」
最後に、これまでお話してきた内容を取り入れた4つのコツをお話します。
ただし、全て取り入れたからといって絶対モメないわけではありません。
どんなに努力をしてもモメる時はモメる。それが相続です。
しかし、対策をするのとしないとでは大違い。
『モメにくい』遺言書を作ることは十分可能です。
ぜひ、4つのコツを参考にしてみて下さい。('ω')
自分の意思だけで決めず、相続人それぞれの意見も聞いてみましょう。
生前で話がつけば不満も減り、円満率も上昇。
効果がかなり期待できます。
もしかしたら、思い描いている内容と違ってくるかもしれません。
無茶な要求もされる可能性もあるでしょう。
しかし、話してみなければ分かりません。
平和な相続には、寛大なココロが必要です。
話を一度聞いた後に遺言書を書いても遅くはありません。
相続税の負担を減らす特例や制度はたくさんあり、うまく利用すれば大幅に節税できます。
ぜひとも生前中に知識を蓄え、遺言書を書いてほしいわけです。
とは言え、お得な制度や特例の条件はかなり複雑。
専門家でもない限り、最大限に活用することは難しいでしょう。
さらに、改定頻度が高めなのも難点。
常に最新情報に気を配る必要があり、ストレスに感じる人もいるかもしれません。
自己判断が困難なときや、自信がない人は無理をしないことが得策。
相続専門の税理士へ相談し、一緒に解決していく方法がイイでしょう。
遺言書で財産を指定する場合は、必ず『すべての財産』について記述しましょう。
モレがあった財産については『遺産分割協議』が必要となってくるためです。
『遺産分割協議』とは話し合い。
これではモメの原因である話し合いを回避できず、遺言書の意味がなくなってしまいます。
まずは、自分の財産をすべて把握しましょう。
円満な遺言書づくりには必須条件です。
いくら法律的に相続人であっても、財産を残したくない相手もいるでしょう。
逆も然りで、世話になった子どもには他の子どもよりも多く財産を残してあげたいですよね。
『想い』が必要じゃないわけではありません。
考え抜いた結果、財産の割合に差が生じることも当然あります。
どうしてそのような財産配分にしたのか、理由もしっかり書いておきましょう。
みんなが納得できる理由であればケンカになることもありません。
◆預貯金は『割合』で指定しよう
遺言書を書いたときの残高と、亡くなったときの残高が同じとは限りません。
預貯金を分ける場合、金額で指定することはやめましょう。
レ 『3割』、『半分』、『70%』
× 『100万円』
◆遺言書は断然『公正証書遺言』がおすすめ
遺言書は3タイプ存在します。
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
『自筆証書』と『秘密証書』は自分で書いた遺言書。
間違った書き方により、『無効』になる確率が高くなってしまいます。
反面、『公正証書』は公的機関で作成してもらう遺言書。
確実な遺言書を残したい場合は公正証書一択です。
これまでいろいろとお話してきましたが、遺言書に『正解』はありません。
大事なのは後悔しないこと。
そのためには生前からの対策が必要となってきます。
悩んでいる方、不安に思っている方は相続専門の税理士へ相談しましょう。
無料相談サービスを用意しているところも多くあります。
まずはお試し感覚で話してみてもイイでしょう。
とにかく、何も行動しないのは損。
納得のいく相続のため、出来ることから始めてみましょう。('ω')
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