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2021.12.16
こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『家族信託の手続き』。
認知症への備えとして、家族信託を利用したいと思っている方は多いでしょう。
また、自由度が高い財産渡しプランも可能なため人気がある相続対策の一つです。
しかし家族信託を始めるためには、一体何をすれば良いのでしょうか?
「家族信託を始めたいけど、どうしたらいいの?」
「専門家に頼むと高い?」
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こんな方はぜひ、読んでみて下さい。
この記事では、家族信託開始までの手続きを【8つのSTEP】に分けて解説。
一つずつクリアしていけば、家族信託を始める準備ができるでしょう。
先に申し上げておきますと、家族信託の手続きは決して簡単ではありません。
専門家でも慎重になる内容であり、自己手続きするなら手間と忍耐が必要になることは理解しておきましょう。
また、自己手続きは費用が安くできる分、デメリットやリスクも生じます。
◆:メリット
◆:デメリット&リスク
プラス面とマイナス面があることを、まずは理解しておきましょう。
その上でやるべきことを把握し、「自分で出来そう!」と思ったら、ぜひチャレンジしてみて下さい。
また、専門家へ依頼した時の【目安費用】もご紹介。
自分では難しいと思った方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
◆・この記事を読む前に・◆
家族信託に必要不可欠な、3つの役割を誰にするか決めましょう。
必要に応じて追加できる役割もあります。
信託財産の持ち主で、管理をお願いする人。
『受益者』と兼任することも出来ます。
任せられた信託財産を、契約内容どおりに管理する人。
契約で指定されていなければ、信託財産を勝手に処分したり使うことはできません。
また、信託財産から出た利益を受け取ることもできません。
『受益者』との兼任は原則NG。
信託財産からの利益を受け取る人。
賃貸不動産からの家賃収入などが当てはまります。
『委託者』との兼任OK。
◆・こんな時に追加しよう・◆
【受益者が『まだ』存在しない時】
『将来生まれてくる子ども』を受益者に指定している時などが当てはまります。
受益者が現れるまでの間、代理として役目を務めます。
ただし、以下のような人は指定できません。
◆・こんな時に追加しよう・◆
【受託者が契約どおりに財産を管理してくれるか不安】
【現金の使い込みや管理トラブルを防止したい】
契約中の不安要素を取り除きたい時に効果的です。
ちなみに、監督できる権利は『受益者』にもあります。
何かしらの理由で受益者が監督できない場合、別の人を置くことができます。
◆・こんな時に追加しよう・◆
【受益者の判断能力が低下している】
【受益者が幼い】
【受益者が利益を受け取ることだけに興味があり、手続きなどを放棄しそうな時】
最後に、おすすめポジションをご紹介。
想定される状況に応じ設定しておくことで、質の高い家族信託が行えます。
何らかの条件が発生した時のために、次の受託者を事前に指定しておきます。
◆:例えばこんな時
何らかの条件が発生した時のために、次の受益者を事前に指定しておきます。
◆:例えばこんな時
受益者の指定をうまく行えば、遺言書代わりとしても活用できます。
(詳しくは、後述している『お役立ちmemo』もCheck!)
帰属権利者とは、信託が終了した時に『残っている信託財産』を受け取る人。
あらかじめ指定しておけば、ムダなく財産を望みの人へ渡すことが出来ます。
契約の段階で決めることが難しい場合、【信託終了時に協議する】という内容を書いておくのもアリ。
ただし、信託財産も遺留分に関わってきます。
あまりにも額が大きい場合、相続時に請求される可能性があることは覚えておきましょう。
なお、『指定していない時』や『帰属権利者がすでに死亡している時』の受取人は以下のとおりです。
受託者がしっかり役目を果たせるよう、管理方法や条件を設定しましょう。
◆:設定すべき基本内容
その他、付け加えたい条件があれば追加していきます。
あいまいな契約内容はトラブルの元。
とにかく具体的な表現で詳しく設定していきましょう。
【例】
なお、家族信託は永久的に継続することはできません。
いわゆる【30年ルール】と呼ばれるものが存在し、『信託開始から30年経過後に受益者が死亡』すると強制終了になります。
委託者としての地位や権利は相続されます。
つまり、信託進行中に『委託者が死亡』した場合、相続人が委託者に。
スムーズな家族信託が難しくなるため、基本的に相続は避けた方が良いでしょう。
◆・相続によるデメリット・◆
この条件により委託者の地位は相続されず、常に『委託者』=『受益者』に。
信託財産が【不動産】の場合、取得時にかかる登録免許税が安くなります。
【委託者】Aさん
【受託者】Bさん
【受益者】Aさん
【第2受益者】Cさん
【第3受益者】Dさん
【信託財産】
【信託終了の条件】
【委託者の地位権利について】
◆:『Aさん』死亡後の流れ
STEP①~④で決めた内容の『契約書』を作成しましょう。
実は、契約書の作成は必須ではありません。
極端な話、口頭でも成立してしまうのです。
しかし、トラブル原因となることは明白であり、基本的にNG。
家族と言えどしっかり『書面化』し、しっかり信託を行えるようにしておきましょう。
公正証書とは、法的行為の事実があったことを証明できる文書。
公的資格を持った専門家により作成され、有効で安全な契約書づくりに最適です。
◆・公正証書のメリット・◆
※(認知症などで判断能力が低下している状態での契約は、『無効』。)
公正証書は【公証役場】で作ることができます。
自作の契約書でも効力はありますが、トラブル防止のため基本的に『公正証書一択』。
また、『信託口口座の開設』にも公正証書が必要な時があります。(詳しくは後述しているこちら)
契約内容をまとめ、公証役場で作成してもらいましょう。
現金を信託財産とする場合、口座そのものを信託することはできません。
口座にある現金を振り込むことで、信託することが出来ます。
また、信託財産は分けて管理する必要があります。
受託者がすでに持っている口座は使えず、信託専用の口座を新しく作らなければいけません。
金融機関によっては、信託専用の【信託口口座】の開設ができます。
対応していない金融機関もあるため、事前に問い合わせ確認しておきましょう。
◆・信託開始までの流れ・◆
Step1. 金融機関に問い合わせ
Step2. 信託契約後、口座開設
Step3. 委託者は信託する現金を送金
Step4. 受託者は送金された現金を使って管理、運用開始
『受託者名義』の普通預金口座を新たに開設しましょう。
信託契約書に口座番号を書き、信託専用口座であることも記載しておきます。
◆・信託開始までの流れ・◆
Step1. 受託者名義の口座開設
Step2. 契約書に記載
Step3. 委託者は信託する現金を送金
Step4. 受託者は送金された現金を使って管理、運用開始
契約内容に沿って、信託を進めていきましょう。
なお、信託進行中でも契約の【変更】や【追加】ができます。
ただし、認知症など判断能力が低下していない場合に限ります。
相談料(30分) | 無料 ~ 5,000円 |
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家族信託の設計・コンサルティング料 | 30万円 ~ 150万円 |
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信託契約書作成手数料 | 10万円 ~ 30万円 |
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(★:コンサルティング料に含まれていることもあり)
不動産の登記手数料(1件あたり) | 10万円 |
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受益者代理人・信託監督人(月額) | 1万円 ~ 2万円 |
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公正証書の作成手数料 | 5,000円 ~ 25万円 |
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(★:詳しくは、日本公証人連合会【証書作成の基本手数料】を参照)
固定資産税評価額の | 0.4%円 |
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(★:土地は2023年3月31日まで0.3%)
信託財産
【現金】2,500万円
【賃貸マンション】1件:評価額3,000万円
受益者代理人・信託監督人の依頼
なし
相談時間
2時間
◆:専門家への報酬
◆:公証役場へ支払う手数料
◆:登録免許税
全財産を信託対象としている場合は別ですが、そうでないケースが多いでしょう。
信託していない財産の遺し方は、遺言書で指定し対策できます。
財産内訳
信託する財産
★★・【不動産B】【現金:2,000万円】は、遺言書で対策!・★★
信託終了後の『残った信託財産』は、相続財産の対象。
相続人が複数いる時は注意しましょう。
『不公平』が原因で、一部の相続人が遺留分を請求される可能性があります。
財産の配分を遺言書で調整し、対策してあげると安心です。
信託財産
信託していない財産
信託契約
相続人
対策しない時の遺産分割
長男:【不動産】【現金2,500万円】
次男:【現金2,500万円】
★★・【現金】はすべて次男にするなどして遺言書で調整!・★★
不公平を承知の上で、財産渡しをしたい人もいるでしょう。
遺留分が請求される可能性がある人を、生命保険金の受取人に。
支払い用の現金確保に役立ちます。
ただし、契約内容によってかかる税金が変わってきます。
設定時や見直しをする際は、よく理解しておきましょう。
相続は財産分けをして終わりではありません。
財産を受け取った相続人は、その後に相続税を納める必要があります。
相続税の納付は、基本的に『現金一括払い』。
不動産が多い場合など、資金調達が困難な時に役立ちます。
家族信託を始めるために何をすべきか、何となく理解できたでしょうか?
家族信託の最大の強みは、【自由度の高さ】。
本来の相続では不可能な財産渡しプランも実現できるため、ぜひ取り入れたい対策の一つです。
しかし、家族信託にもデメリットがあります。
相続対策は、みなさんの事情に合わせて行うべきもの。
家族信託はあくまで対策の一つに過ぎず、他にも選択肢はあります。
将来に不安のある方、少しでもお得な相続を達成したい方。
無料相談などを利用し、一度専門家へ相談してみましょう。
みんなが納得できる、ぴったりの方法が見つかるかもしれません。
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