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今回は、先日一周忌を迎えられた志村けんさんの相続、相続税についてお話をしていきたいと思います。
資産の総額が10億円とも50億円とも100億円とも言われている志村けんさんですが、相続の手続きはまだできていないということが、お兄さんのインタビューで明らかになっています。
税金はどれくらいなのか。志村けんさんのご自宅の相続税評価はいくらなのか。この辺りについてお話をしていきたいと思います。下記の動画でも同じ内容をお話ししています。
まずは志村けんさんの相続ということで、法的に受け取る権利を持っている人を法定相続人という言うんですけど、相続人はお兄さん2人?という風には言われています。
「お兄さん2人?」と「?」がついているのは、過去に志村けんさんご本人が書いた『変なおじさん』という本によると、過去につき合っていた、同棲していた女性との間に子供がいるということが記載されています。
子供がいる場合、法定相続人はどうなるかと言うと、過去につき合っていた人との子供で、実際に子供さんが認知されているのか。戸籍の父親欄に志村けんさんの名前(本名は違いますけど)があるのかないのかということですね。
なければ相続権はなくてですね、お兄さん二人が相続人になります。逆に、子供さんの戸籍にもし志村さんの名前があれば、子供さん一人で受け取る権利があるということですね。ここは不明なんですけど。
資産総額は10億円とも50億円とも100億円ともインターネットには書いてあったりして、実際のところはわからないです。不動産が自宅と熱海と渋谷。熱海と渋谷にマンションがあるという風に書いてあるんですが、自宅はインターネットで調べたらすぐにわかったので、ちょっと相続税評価というのをしてみました。
インターネットで住所も出てきて見つけられるんですけど、住所は三鷹市で、登記簿謄本と言われるものの抜粋を見ると、2筆と言って連なった番地を2つ持ってらっしゃってて、こういうのは合計で評価するんですね。
一方が100.82平米、もう一方が115.94平米、合わせて216.76平米があって、相続税の評価に使う路線価と言われるものが、ここは29万5000円。なので、相続税評価で言うと6394万4200円。
過去のニュースとかインターネット情報によるともともと4億円で購入したそうで、これが昭和62年、バブルが弾ける前ですよね。約35年くらい前ですか、不動産が結構高いときに買った4億円の不動産が、今6300万円ほどです。
不動産というのは土地の評価だけで、建物は別に評価するんですけど、建物は年々価値が下がっていくので、インターネット上でGoogleMapとかで見ましたが、おそらく1000万円もあるかなどうかな、ぐらいじゃないのかなとは思います。
自宅以外にマンション2件というのもあるんですけど、さっき言った通り熱海と渋谷ということで、おそらく高く見積もっても2件で1億5000万円ぐらい。だから自宅の土地6300万円と建物を合わせても、それでも不動産だけでは3億円に満たないのかなと思います。
事務所の株とかあるのかなと思うのですが、よく芸能人は事務所を自分で出資して設立して、事務所が儲かっていくと事務所の株価が上がって、それが自分のものになるということになります。
志村けんさんの事務所を調べてみるとイザワオフィスという事務所で、井澤さんが代表でオーナー会社ということなので、志村けんさんの株ではないです。志村さんの会社ではないので、相続で評価の対象にはおそらくならない。
ほかに10億円もあるとしたら、あとは現金預金なのかなということなんですけども、不動産が3億円で、現預金が7億円あれば相続税を払うにはあまり困らない感じにはなるんですけども、ただし相続税の評価であと考えられるのは、無体財産権という言うんですけど、著作権とか商標権とかそういうものですね。
そこからの印税も、「将来に渡ってこれぐらい財産になるであろう」ということで計算をするので、これがもし大きいと厄介です。というのは、これから何年間か、たとえば「5年間に渡って20億円くらい印税が入ってきますよ」ということで評価されたとします。
すると、今現在お金がないのにその分の税金も払わないといけないということになるので、これがもし大きいと厄介なんですね。ただ、これは過去3年間の平均印税とかから算出するので、その辺りはちょっとわからない。
イザワオフィスという事務所がこれを管理して、給与として志村けんさんに払っていたとかであれば、計算方法とかまた変わってくると思うんですけどね。だから仮に、本当に10億円あったとしても、週刊誌とかで「相続税を納めるために家を売らなければ」みたいなことを書いてあるけど、そうでもないんじゃないかなと思います。
実際は現預金がなくて不動産だけという可能性もありますしね。おそらく年収が1億円を超えていたということで、それだけ入ってくるお金を全部使って貯金がないという可能性もあるので、そうなると厳しいかなとは思います。
法定相続人というのが今のところはっきりとわからないんですけど、仮に財産が10億円で兄弟がお二人とした場合の税金はどれくらいかと言うと、10億円から基礎控除と言われる4200万円、これは3000万円+法定相続人1人600万円×2で合計4200万円を引いて、9億5800万円が課税の対象になります。
相続税をどうやって計算するかと言うと、9億5800万円を法定相続人の人数で割る。すると4億7900万円。4億7900万円に対する相続税率は50%をかける。ここから税率の調整のための基礎控除額4200万円を引きます。1億9750万円が1人当たりの税金となります。
「恐怖の2割増し」というのがあるんですけど、1億9750万円を1.2倍して2億3700万円。これは何かと言うと配偶者と直系の遺族以外は2割増しされるんですよね。だから直系の人以外に遺言とかであげたりすると2割増しになる。
法定相続人以外の人に財産をあげるには遺言がないと、基本的に渡すことはできません。よく相談を受ける例をサザエさんでたとえましょう。
たとえばフネさん・波平さんがいて、サザエさんが相続権を持っています。波平さんが仮に死んだとして、サザエさんが相続権を放棄するからタラちゃんにあげてほしい、みたいなことを言う人がいるんですが、それはできないんです。
タラちゃんは相続権がないので、サザエさんが相続権を本当に放棄したなら、それをもらえるのは残った相続人、フネさんがいたらフネさん、カツオくん、ワカメちゃんという風になるので、そういう風な都合のいい放棄というのはできません。結構できるように思っている人がいたりしますが、それはないんですよね。
ちょっと話がずれましたが、税金は1.2割増しにされて2人分になるので4億7400万円ですね。10億円のうち4億7400万円を持って行かれる。2人で割るので、1人当たり5億円もらって2億3700万円になります。2億6300万円はお手許に残るので、このまま行くとお兄さん2人も万が一があった場合はおそらく相続税の対象になるでしょう。
ここまではわかるので、お兄さん2人にもものすごい営業とかDMが送られていると思いますね。私も相続のお手伝いをしていて銀行の解約とか送金ね、相続人が1億円持っていて、たとえば法定相続人が2人いて5000万円ずつ送金とかしたら、送金した瞬間から銀行の営業がガンガンくるというのは、相続人の方がよく仰るのでね。
お兄さん2人もそれだけ財産を持つというのがほぼ確定なので、おそらく今も営業がすごいんじゃないかなと思います。
実際の法定相続期限というのは亡くなられてから10カ月です。志村けんさんは去年の3月29日に亡くなられているので、本当は1月29日までに申告をしなければいけなかったんですけど、今はコロナ禍の影響などもあったら税務署には待ってはもらえます。
ただ早く手続きをしないと、結構これも実務ではよくある話、数次相続という言い方をするんですけど、一つの相続が終わる前、手続きが終わる前に次の相続が発生することを数次相続と言います。
今回のケースで言うと、たとえば志村けんさんの相続の手続きはお兄さん2人で、それが終わる前にどちらかが亡くなると、その人に奥さんとか配偶者・子供がいればその人が登場人物としてまた出てくることになります。
志村けんさんの相続についてその人が話に出てくるので相続人の人数が増えたりとか、兄弟だったら「まあまあ」で話が済んだのが、配偶者とか甥姪とか、あまり近くない関係の人が出てくると結構お金にシビアなことを言い出して(特に配偶者)、もめるケースがあるので、この辺りは早く済ませるよう要注意とは個人的に思います。
相続の遺産分割協議と言うんですけど、法定相続人が今回のケースのように2人だったら、2人が同意すればどんな分け方をしてもいいんですよね。長男が100、次男ゼロでもいいし、50:50でも60:40でも。
ここの同意をしないままにさっき言ったみたいにどちらかが亡くなると、同意する権利・相続権を持つのがその奥さん・子供になるので、そうなると「50は絶対もらう」とか、そういう風にぐちゃぐちゃになっていくというのがよくある話です。
今回は志村けんさんの相続ということで、バーッと概算をお伝えしてみました。実務で起こる事件簿的なことはたくさんあるんですけども、お話しできる範囲でまたそういうのもお伝えしていきたいと思います。
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