ご自宅への出張面談も可能です
こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『代償分割で上乗せされる税金』。
代償分割とは、土地や建物などの『モノ』を貰い、他の相続人へ『代償』を払って成立させる分割法。
不動産が絡む人の中には、検討している方も多くいるかと思います。
しかし、相続税の他にも『別の税金』が課税される可能性があるのです。
こんな方はぜひ、読んでみて下さい。
また、『何となく』代償分割を理解している方は、もう少しだけ知識レベルを上げてみましょう。
メリットやデメリット、対策面などを押さえておけばより効果的な選択ができるためです。
落とし込みやすくなるよう、この記事ではなるべく簡略化してお伝えしていきます。
ざっくりと目を通し、後悔しない選択のヒントとしてお役立て下さい。
代償分割に関係する税金は、相続税だけではありません。
やり方次第では、『相続税以外の税金』が追加される場合も。
つまり、多重課税により税金の負担額が増加してしまうのです。
「気が付いたら税金まみれに!」なんて事にならぬよう、しっかり確認しておきましょう。
上乗せの可能性がある税金は2パターン。
どちらも追加されなければ、『相続税のみ』課税。
なお、代償分割を行った場合、相続税の『課税範囲』が調整されます。
気になる人は後半部分にある、『【相続税】の課税範囲』もチェックしてみて下さいね。
条件は2つ。
『すべての条件』を満たしている場合、譲渡所得税と住民税が追加課税されます。
【条件①】
現金以外の『モノ』を代償として差し出している
【条件②】
あげた時の価格(時価)が取得した価格より高い
譲渡所得税とは、資産を売って得た収入に対し課税される税金。
一般的には、土地や家などの不動産売却に関わってくる内容です。
代償の支払いで実際に収入が発生しているわけではありませんが、同等の扱いを受けてしまいます。
代償のモノ | 土地 |
---|
取得価格 | 2,500万円 |
---|
差し出した時の価格 | 3,500万円 |
---|
条件は2つ。
『どちらかの条件』を満たしている場合、贈与税が追加課税されます。
【条件①】
遺産分割協議書に代償分割で分けたことを記載していない
【条件②】
代償金の額が、代償分割で相続する財産の価格より多い
代償分割は『贈与行為』ではないため、基本的に贈与税は発生しません。
『予想外な税金』の発生だけは回避しましょう。
また、贈与税に設けられている『110万円の非課税枠』に収まれば税金不要。
とは言え、代償分割をする場合はたいてい高額になります。
非課税になることはほぼ無いと考えて良いでしょう。
代償分割により相続する財産 | 3,500万円の土地 |
---|
代償金 | 4,000万円 |
---|
この2つの条件を満たしていれば、他の税金は追加なし。
相続税の課税対象は以下のとおりです。
代償を差し出した人
【取得した財産額】-【代償金額】
代償を受け取った人
【取得した財産額】+【代償金額】
相続人 | ・故人の子A ・故人の子B |
---|
代償金を支払った人 | 子A |
---|
代償金 | 4,000万円 |
---|
【子A】の取得財産 | ・5,000万円の土地 ・4,000万円の家 |
---|
【子B】の取得財産 | ・2,000万円の現金 |
---|
◆:相続税の基礎控除額
= 3,000万円 + 600万円 × 相続人の数
= 4,200万円
◆:『代償金を支払った子A』の課税対象
【取得した財産額】-【代償金】
=(5,000万円 + 4,000万円)- 4,000万円
= 5,000万円 - 4,200万円
◆:『代償金を受け取った子B』の課税対象
【取得した財産額】+【代償金】
= 2,000万円 + 4,000万円
= 6,000万円 - 4,200万円
一度は聞いたことがあるかもしれない、『小規模宅地等の特例』。
『土地』に限られますが、相続税を『最大80%カット』できる超エリートな特例です。
現金化をすれば、譲渡所得税や住民税が課税される点を考えると、お得感満載。
代償分割は、賢い節税対策の一つとも言えるでしょう。
◆・先にご確認ください・◆
裁判所での遺産分割を検討している場合、以下のような注意点があります。
故人が契約している生命保険の受取人になる方法。
保険金は一度に大金を入手できるため、かなりオススメです。
注意すべき点としては3つ。
代償金の支払いは、同意があれば『分割払い』でもOK。
まとまった大金が用意できなくても、代償分割が実現できるかもしれません。
ただし、相手にとっては支払いの保証が無いのも事実。
実際にはあまり合意されないケースが多く、可能性としては低いことも覚えておきましょう。
保険金を『代償金用』ではなく、『遺留分の支払い金用』として活用する方法。
代償分割による遺産分けではありませんが、思い描く相続が実現するかもしれません。
遺留分とは、相続人それぞれが持っている『法的な遺産の取り分』のこと。
遺言書で『極端な』遺産分けがあった場合、取り分が少ない相続人は多い相続人に対し、請求することができます。
つまり、遺留分の性質を逆手に取り、望みの財産を手に入れようというやり方です。
相続人 | 故人の子:A、B、C |
---|
遺産 | 家&土地 |
---|
遺言書の内容 | すべての遺産を『A』に遺す |
---|
step1. BとCはAに対し、遺留分を請求
step2. Aは生命保険金を使って支払いをする
また、遺留分は計算により金額の算出が可能。
話し合いで決まる代償金とは違い、事前に金策できる点も魅力的でしょう。
ただし、以下のような注意点やデメリットもあります。
とても有効な方法の一つですが攻撃性が高く、確実性も求められるため難易度はかなり高め。
注意点もかなり多く、慎重に実行すべきことが一目瞭然でしょう。
興味のある方や検討したい方は、『相続専門の税理士』へ相談することを強くオススメします。
金銭が絡む相続問題は、当事者同士だけでの解決は難しいもの。
意地や不仲が原因で、話し合いそのものが冷静にできていない可能性もあるでしょう。
そんな時には『専門家』を交えての遺産分けがおすすめ。
第三者が混じることで感情的になりづらく、話にも説得力が付きます。
聞く耳を持たせ『代償分割の良さ』を伝えることが出来れば、意外とあっさり実現できるかもしれません。
ぜひ、『冷静な話し合い』も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
『モノ』の遺産を引き継ぎたい人にとって、代償分割は超有効。
ほかの相続人と揉めてしまっても、代償で解決する道が与えれるため相続の幅が広がります。
しかし、必ず思い通りにいく保証はありません。
資金問題や税金、事前準備など考えなければいけないことは山ほど。
個人で抱え込んでしまうと、精神的にも参ってしまうでしょう。
こんな方は一度、『相続専門の税理士』へ相談してみましょう。
それぞれの事情にぴったりの、オーダーメイド製のアドバイスを受けることが出来るためです。
また、相続は代償分割が全てではありません。
場合によっては別の方法で攻めた方が『よりお得』で、『より賢く』対策できることもあるでしょう。
相続の可能性を広げ、ベストな選択肢を見つけてみて下さい。
税制の改正や相続に関する情報をタイムリーに配信中!
是非登録してくださいね!
税金!相続等の情報をタイムリーに
解りやすく動画で配信しております!
ぜひチャンネル登録をしてご覧ください